あの人が癌の手術を終えた夏から1年
私たちは、この家で
ただ穏やかな時を過ごしていた

朝、目を覚ました私は
まだ寝ているあの人を起こさないように
静かにあの人の部屋の前を通り

洗濯したりPCしたりしながら
あの人が起きてくるのを待った

あの人は起きるとまず神棚に手を合わせ
日めくりのカレンダーを破き
大好きな珈琲を入れてから
少しだけ部屋に戻り仕事をする

慌ただしいのが嫌いな私の為に
11時頃からお昼の支度を始め
早めのお昼を食べてから
私が出かけるまでの時間は
出来る限り一緒に過ごしてくれた
-時間-

私が帰るとご飯が出来ていて
ダイニングで夕飯を食べながら
楽しい会話をした

私がお風呂に入る時間に合わせるように
あの人はギターを弾き

そして先に休む私が布団に入る時
必ず仕事の手を休めて「おやすみ」の会話をしてくれた
-ことば-

そんな平穏な日々がずっと続くと信じていたのに…


私があの人の止めるのも聞かず転職したのは
6月の後半だった

半日のパートを辞め、競争率36倍(だったと聞く)の
社会保険のある小売業に着いたが
サービス残業と通勤で1日10時間以上拘束され
勤務の日はあの人と過ごす時間がほとんどなくなった

休日も不定期で2日続けて休める事はなく
私ばかりか、あの人の生活リズムまで崩してしまった
そして追い打ちをかけるように
入社1ヶ月ほどで本店への移動命令
これまで以上に通勤時間が伸び、拘束時間は12時間になる
私は1日だけ本店で勤務し
通勤が困難な事を理由に退社した


そして無理を承知で以前の職場への復帰を願い出た
上司は事情も聞かず、お盆明けからの復帰を了承してくれた
-最後の1ヶ月-

あの人と過ごした最後の1ヶ月は幸せだった
-呼び名-

週明けからの職場復帰を控えた土曜日
-最後の1日-

翌朝、私はいつものように
あの人を起こさないように静かに過ごした
お昼近くになっても起きてこないあの人の部屋をそっと覗くと…

急性脳出血だった
-後悔-

エアコンで冷え切った部屋には
仕事途中のPCが2台ついていて
耳にはイヤホンを付けたまま
メガネだけが少し離れたところに落ちていた

享年47歳

あまりにも突然の別れだった






 【 御礼 】

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整体師のつぶやき



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夕方、買い物に出て
春の花を買ってきた
チューリップがなかったからフリージアにしたけど
あの人はフリージアの名前を知らないだろうな(笑)
それからあの人が一番好きだったりんご、王りんを買った
あとは甘いお菓子を色々 喜んでくれたかな~

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