2010.12.20 会話
義父母の話をたくさん聞いた
今は数枚しか残っていない義父の油絵の説明や
現役時代に都知事から貰ったたくさんの賞状の話
義父は「小学校しか出てないけど仕事では負けなかった」と自慢し
「運が良かったイイ人生だった」と微笑む
私が「運とお母さんに恵まれましたね」と言うと
義父は「大きなケンカもせずによく続いた」と照れる
義父の笑顔は穏やかだ

義母も写真の束を出して
前の住居で畑に植えたたくさんの花や野菜の話
元気だった頃、ご夫婦で散歩をして行ったお寺や学校の話を
楽しそうに聞かせてくれた
若い頃の宇野千代先生のお写真も拝見した
服装もモダンでモデルさんのような立ち姿だった
義母は疎開先の壬生ではなく
小石川のお屋敷で行儀見習いしていたそうだ

引越で買い物が不便になってしまったが
お二人とも日当たりが良く静かな新居が気に入っている
南側のベランダは広く畑と木々が見え
建物も新しく高齢者向けの為住み易い

義母は引越でたくさんの大切な物を失ったのに
それでも手元に残して下さっていた数少ないあの人の物
幼稚園と小学校と中学校、それに学童クラブの卒業証書を
私に下さった
小学校の時の鎌倉遠足の集合写真と19歳の頃のハワイで撮った写真も
義母にとって大切な宝物だろうに
「智子さんが持っていてあげて」と渡してくださった

楽しそうに話すお二人が毎日過ごす居間の片隅には
小さなテーブルに飾られたあの人の写真と
たくさんのお花、果物、お菓子、缶コーヒーが
それを見つめる私の視線に気づき
義母が「寿命は順番じゃないから」と言った言葉が心に痛い
なのに「私にはお父さんが居るけど智子さんは一人だから…」と
気遣って下さる

私もあの人の同級生がネットにアップしてくれた
中学の入学式や海の写真
それから今の同級生達の写真をプリントして持参したが
視力の落ちてしまった義母には顔がよく見えない

それでも私の話を聞き、同級生達がよくして下さる様子に
「みなさんによろしく伝えて下さいね」と嬉しそうに笑った


 私はこの年老いた義父母に何が出来るのだろう
 悲しいことは忘れどうか穏やかに過ごして欲しい
 何かあったらあの人に代わり私が行きます
Secret

TrackBackURL
→http://akogareya.blog70.fc2.com/tb.php/236-60224aa3