2010.11.16 一度
まだ、あの人が隣町の駅前ワンルームに住んでいた頃
色んなところに連れて行かれた
あの人の行動はいつも突然で
休日の朝いきなりきて「出かけるぞ~」と言われ
すっぴんでスウェット上下の上にコートだけ羽織らされて
近くのコンビニギリギリの格好のまま山の上まで連れて行かれた事もある
その後、私が「先に行き先言わないと出かけない」って
怒ったからスウェットでの遠出はなくなったが

その頃、軽井沢にも何回か連れて行かれて泊まった事もあったけど記憶が薄い
かろうじて覚えているのは
「茜屋」と言う珈琲店に行ったのと
軽井沢で有名らしい店でジャムを買った事くらいだ
その時たしか「おまえはどこ連れて行っても有り難みがないな
ここのジャムはおみやげの定番だからもっと買えよ」って言われたと思う

一度だけ隅田川の花火を見に行った時も
東武線に乗って浅草で降り
花火の前に「焼きかつ屋」さんで食事をしたが
私の箸が進まなかったのを見て
「前の嫁はこれ好物だったのに」って言われ
「ごめんなさい」と答えたのを覚えている

そう、たった一度だけ
一緒に暮らしだしてすぐの頃
あの人がアルバイトをしていたビジネスホテルのフロントから電話をかけてきて
「系列のホテルの部屋をとったから今晩喜多方に泊まりに行くぞ」って
夜勤明けから戻ってその足で喜多方に行った事があった
たぶん行楽シーズンで部屋が満室だったかなにかで
シングルの部屋の床に布団を1枚しいて別々に寝た
夜勤明けの長距離運転で疲れているだろうからベットで寝てって言ったのに
あの人は「俺は床でいい」ってガンバッた

夜、ホテルから歩いて細い路地の途中にあるラーメン屋さんに入った
そこのオヤジさんに「どこから来たの?」って聞かれて
「栃木です」って答えたら
俺の息子も「群馬に住んでるんだ」って(栃木と群馬は違うのに)
アルバム開いて息子さんの自慢を聞かされて
「立派な息子さんですねー」って褒めたら
「サービスだ」ってラーメンにお餅を乗せてもらったけど
残しちゃ悪いしボリュームありすぎるし、あれは困ったな~

翌朝、先に目を覚ました私がホテルの窓を開け
「喜多方のみなさぁ~ん、おはようございまぁ~す」って言ったのが
あの人は気に入ったらしくて、あれから何度も思い出して笑ってた

私を遠くに連れて行って、あの人が満足する反応を示せたのは
たぶん、それ一度キリだった
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