2010.11.12 幼児期3
当時義父母の住まいは南千住の2丁目13番にあったが
そこは共同トイレの古いアパートで
2階にあった部屋には手すりもなく
元気の良すぎる幼い子供を育てるには危険だった為
程なく知人の所有する谷塚のアパートに越した
義母はそこで管理人のような仕事もしていて
24世帯の家賃を預かり
月に一度明治神宮の近くにあった大家の家まで届けていた
いつも電車の中で眠ってしまう子供をおぶい大家の家に着くと
目を覚ました子供は目を離した空きに大家の家の中を走り回った
とにかく「じっとしてない子供」で
当時入手困難だったと言う年賀状を買う為に
日光街道沿いの郵便局に並んだ際には
手を掴んでいると「ギャーギャー」騒ぐし
離すと車が多くて危ないし抑えつけるのに苦労したと義母が笑う

谷塚には屋台のおでんやさんが来ていて
子供は毎日午前中にくるおでんやさんを
「チリンチリン」と呼んで
串に刺してもらうおでんを楽しみにしていた
アパートには大学生くらいのお兄さんも住んでいて
そこで初めてクリープをたっぷり入れた珈琲を飲んだり
ギターに触れたりビートルズの曲を聴いたと言う
赤ちゃんの居る部屋では
赤ちゃんの飲み残した哺乳瓶のミルクを飲んでしまったり
近所の駄菓子やさんで買い物をしたり毎日が楽しかった

その頃、子供は近くにあった火葬場を悪の秘密結社だと思っていた
黒い服の集団が列を作って歩く様は子供の目には異様に写ったのだろう
近くにあった沼に行きスルメの足をエサにザリガニ釣りをして
集めたザリガニで秘密結社と戦おうと真剣に考えていた

谷塚に住んでいたのは2歳~4歳くらいまでの2年弱だったと言うが
あの人は義母と毎日一緒に過ごしたこの頃の事をよく覚えていて
一度、谷塚の駅前に車を止めふたりで町を歩いた事がある
町は綺麗に変わっていて
小さい頃に通った駄菓子屋さんも見つからなかったが
あの人は想い出話をしながらとても懐かしそうにしていた

※ 主人と義母から聞いた話を元に書き記しました
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