2010.11.10 幼児期1
あの人が生まれたのは北関東の小さな城下町
父親は自営業を営んでいた
家族は両親と姉の4人だった
けれど物心がつく以前に両親は離婚し
父親の元に残された幼い姉弟は
仕事の邪魔になるからと知人に預けられた

離婚の理由は母親の浮気だったらしい
相手は仕事で出入りしていた職人だったか
従業員だったか
まだ母が恋しい年頃の幼い姉弟は残された

姉は一度養女に貰われたと言うが
ある程度物心が付いていた事もあって
「なつかない」と言われ返されたと言う
その後の消息は今もわからない

知人に預けられていたあの人の事は
今も昔を知る年寄り達の記憶に残っている
寒い季節、町を流れる川のほとりに
犬のように縄で繋がれ1日中泣いていたと
見かねた近所の蕎麦屋の店主が
時々暖かいそば湯を飲ませてくれたと言う

縁あって義父母が養子として迎える事となり
迎えに行った先で初めて見たその子供は
すでにしっかり歩ける年頃になっていたと言うのに
生まれたばかりの赤子が着るような産着を
何枚も重ねて着せられていたと言う

義母は用意していたセーターに着替えさせ
そのまま連れて帰った
東京へと向かう電車の中で子供は安心して眠った

※ 主人と義母から聞いたままを書き記しました
Secret

TrackBackURL
→http://akogareya.blog70.fc2.com/tb.php/176-81f82154