あの人はアコースティックギターが好きだった
マーチンちゃんだのギブソンちゃんだのって
ギターをちゃん付けで呼んで大切にしていた

一時期ギターに凝って沢山のギターを集めた時
「音が知りたいから買う」って言ってたけど
あの人は本当に耳が良くて
チューニングの絶対音感くらいじゃなくて
ギターの音色を聞いただけでメーカーと型番？を言い当てた
ギターの相場もギター屋さんより詳しかった

この家を買った時にほとんどのギターを手放してしまったが
その時、もう音を覚えたからイイ
あとは若いギターを弾き込んでいい音になるまで育てると言っていた

あの人は19歳の時に事故で左手の靱帯を３本切断して
しばらくギターが弾けなかったと言っていたが
幼友達はその事を知らなかった
たぶん実家を離れて浦和に居たんだよね
今度、その頃のことを義母に聞いてみよう
もし靭帯を切っていなかったら
あの人はミュージシャンになりたかったのかな？

数年前まで参加していた地元バンド仲間の野外ライブでは
同い年の２人組バンドを
あの人は「オヤジバンド」って呼んで
アコースティックギター２本でコピー曲を弾いてた

家でも仕事がよほど忙しくない限り
毎晩ギターを弾いてた
中島みゆきとかNSPとか村下孝蔵とか…
オリジナル曲も弾いてたように思うけど楽譜は残っていない

あの人が歌っていた中で私が好きだった曲を思いだし
久しぶりに聞いてみる
NSPの漁り火
聞いてるだけで胸が苦しくなる
あの人の好きな歌はやっぱり悲しい