2010.10.19 心配
去年の夏あの人は癌の手術をしたが
心配をされるのが嫌いなあの人はほとんど誰にも知らせなかった
事前に知らせた義父母やわずかな友人にも手術日は知らせず
退院後「終わった」と連絡を入れた
ひとり手術室の前であの人の事を祈った時の心細さと
手術が無事終わった時の喜びは今も鮮明に覚えている
なのに、あの人は麻酔が覚めると家に帰ると言い
本当に手術の翌日には退院してしまったが
幸いその後の検査でも癌の転移はなく胸をなで下ろした

この家に越す前には胆嚢炎で度々夜中に緊急外来を訪れた
胆嚢炎の痛みは尋常ではなく医師は入院か手術を勧めたが
あの人は点滴で痛みが落ち着くと「締め切りがある」と言い強引に帰宅した
ちょうどその頃は義母の2回目の脳腫瘍手術と重なる時期で
私の運転する車の後部座席で激しい痛みに耐えながら千葉へと通ったが
そんな時でも自分より私の運転と義母の病状を心配していた

他にも昔からあった喘息や春先のメニエールなど
いくつかの健康不安は抱えていたが
本人が体型のわりに血圧は低いと言っていた事もあり
死因となった急性脳出血についてはノーチェックだったので
あまりに突然の事に現実を受け止めることが出来なかった
時が経つにつれ
心配されるのと入院が嫌いだったあの人らしいと思おうとしたが
やっぱり
私はあの人の事をいっぱい心配したかったし看病もしたかった
あの人が私に注いでくれた愛情のほんの一部でも返したかった
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